top of page

超高層建築の世界#5 Mjøstårnet(ミョーサ湖の塔)


SKYSCRAPER’S WORLDへようこそ


管理人のBKBこと、かわさきです。



このブログでは世界の超高層建築を紹介していきます。



早速ですが、今日ご紹介するのは ミョーストーネット と呼ばれるノルウェーの木で造られた複合ビルです。 近年、特にヨーロッパで研究と実践が進められる 木造の高層建築として世界一の高さを更新しました。

木造の高層建築に関する関心の高まりは非常に高く、 高層建築のスカイスクレーパーとベニヤ板のプライウッドを合わせて

プライスクレーパー」という造語もでてきているそうです。 そんな中、新たに世界一の木造高層建築となったミョーストーネットの高さは85mとこれまで紹介した鉄骨造, 鉄筋コンクリート造の高層建築と比べると物足りなさを感じる高さかと思います。 ただ、このプロジェクトは世界中からデザイン, 構造の設計者や建築素材の研究者が視察に訪れる注目度の高い建築です。 これを機に木造ビルか主流となる時代が来るのも近いかも知れません。


改めてミョーストーネットの概要からご紹介します。 ミョーストーネットは高さ85m18階建ての 木造高層ビルで、地元プルムンダルの木を使い 地元で加工し建設された地域密着型のプロジェクトとして開発が進められました。 高さ85mというのは木造建築として世界1位の高さを更新しました。

これまで世界一の高さだったのが51mのTreetと呼ばれる同じノルウェーのベルゲンにある木造ビルですから、木材を使った構造材や工法の開発の発展は目覚しいものがあります。

建設効率やコスト、環境性といった点で木造ビルの優位性は高く評価されており、こうした木造の高層建築は今後益々広がりをみせることでしょう。


さて、新たに世界一の高さとなったミョーストーネットですが、

ノルウェーの首都オスロから北側150km、車で約1時間半の距離にある

ブルムンダルという集落にあります。

このブルムンダルという町はノルウェー最大の湖であるミョーサ湖の東側に位置していて、小規模ながら人口密度の高い集落として知られています。 実はこのミョーストーネットという名前はノルウェー語で

「ミョーサ湖畔のタワー」という意味だそうです。 またノルウェーはじめ北欧諸国はヨーロッパの中では

伝統的に木材の使用が盛んな地域ではありましたが、 特にノルウェーは国をあげて木材の建築資材としての活用が盛んに行われています。

海辺のベンチはもちろん、街中のふとした空間にも木材が使われていて、

近年は集成材、構造材を使った中高層建築も数多く誕生しています。 木材を使った建築の場合、木の風合いや木目を生かしてそのまま内装・外装材として使うことができ、空間デザインやコストの面でメリットがあるほか工事費用のコストカットにもなるため一石三鳥の工法と言えるでしょう。 ノルウェーではオスロ空港を始め、オスロ市内の学生寮や幼稚園といった

小さなものから大きなものまで木材での建築が進められており、

まさに木を使った街づくりが展開されています。 こちらの詳細についてはYouTubeで取り上げたいと思いますのでよければまた動画をご覧いただけたら嬉しいです。


さて、では続いてミョーストーネットの構成の紹介に移ります。 ◯構成 ミョーサ湖畔に建つ木造高層ビルのミョーストーネットは

カフェ・レストラン、オフィス、ホテルとアパートから構成されます。 1階にカフェレストランとバー、さらに4つの会議室を配置し、

3階から7階はオフィス、その上8階から11階にはホテルが入ります。


木の醸し出す空間で寛ぎの時間を過ごすことのできるこのホテルは家具やその他の調度品も木で統一されていて、その名前をウッドホテル(WOOD HOTEL)というんだそうです。


さらにその上、12階から17階部分にはアパート、最上階は展望テラスといった形で全体が構成されています。 ノルウェー最大の湖に面しているとあって、アパート・ホテルはもちろん、

カフェスペースや会議室からの眺めは壮観で、人気を博しているそうです。 ほかにも、タワーの南側にスイミングアリーナと称するプールを併設していて、

これは学校の付属施設やリハビリ施設として利用するため一般に公開されていて、

地域活動にもこのプロジェクトは貢献しています。

◯木造高層ビルの広がり 地元出身のArthur Buchardt氏が中心となって 地元の建設企業が力を合わせて地元の木材を使って高層ビルをつくる、というこのプロジェクトはグリーンシフトの象徴としてブルムンダルのランドマークとなりました。 冒頭にもお伝えした通り、新たに木造高層建築ナンバーワンとなったこの建物には世界中から多くの人が視察に訪れています。 ほかにも、このプロジェクトで使われたCLT(直交集成材)やLVL(単板積層材)といった木材の従来の軽くて比較的強度も高いという特質を活かして開発した構造材を駆使して世界各地で木造あるいは鉄骨とのハイブリッド構造の高層ビルプロジェクトが展開されています。 例えば、デンマーク最大の建設会社「C.F. Møller」がスウェーデンのヴェステロースで木とコンクリートのハイブリッドで22階建ての高層ビルの建築を進めています。 他にもロンドンではすでに2009年にStadthausと呼ばれる9階建て29mの高さの木造アパートが完成しています。 ちなみに木造住宅というくくりではオーストラリアはメルボルンにある集合住宅・フォルテが10階建て, 32mで世界一位の高さだそうです。 こういったように木造の高層建築のプロジェクトを上げればきりがないほどです。 これもやはり木本来の軽量であると同時に強度が高い、という特徴もさることながら サステナブルな材料であること、工期短縮による建設コストのカットが可能であること、 完成後の断熱性、省エネ性の高さといった環境・経済的側面での魅力によるところが大きいのではないでしょうか。

そうした中で世界的に注目されるプロジェクトがなんと日本で計画されています。 それが住友林業が打ち出した「W350計画」です。

注目されるのがなんと言っても350mの高さを誇る70階建ての木造高層ビルです。 実際には一部鉄骨材を含むそうですが、その比率は木:鉄骨=9:1ということで ほぼ木材でつくられるといって差し支えないでしょう。

これを2041年の完成を目指して丸の内の一角で計画を進めるんだそうです。 現在の高さ日本一は鉄筋コンクリート造でつくられたあべのハルカスで、 その高さは300m(60階)であることからもこのプロジェクトがいかに挑戦的かがわかります。 鉄骨、鉄筋コンクリート造の高層ビルが立ち並ぶ丸の内の街並みも 木造の高層ビルが加わることで様変わりするだろうと今から期待で胸が膨らみますね。

以前、香港環球貿易広場の回でデザイン的なかっこよさや建築物としての高さだけでなく 高層建築においても環境への配慮が問われる段階に入ったという話をしました。

木を使って高層ビルをつくる、これからの都市をつくるというのは 現代の最重要テーマの一つである都市の持続性という問題の解決策となり得る技術です。 そういった意味でも今回ご紹介したミョーストーネットが木造高層ビルの高さ世界一を更新したという事実はこれからさらに木造建築が高層化していく中でひとつの契機(きっかけ)となることでしょう。


では最後に,Mjøstårnet(the tower of lake Mjøsa) の印象的な写真を

ハイライトでご覧ください




はい、ということで今回は以上となります。 いかがでしたか? 高い建物というだけでなく、それが木でできているというところに驚きや面白さがあったかと思います。

ポッドキャストでは可能な限り言葉で、その魅力を伝えようということで配信をしています。


YouTubeではこの後、建築パースや参考画像を用いたハイライトを用いて

映像をまとめて行きますのでよかったら見てもらえると嬉しいです。


ビジュアル以外の部分でも今回のMjøstårnet(the tower of lake Mjøsa) のように周辺のトピックを調べていくと色々と面白い情報が出てきて、調べてみようかな、もっと知りたいと思ってもらえたのではないかと思います。


感想や質問、この建物について知りたい、といったご意見はコメント欄でお待ちしてます。


これからも世界の高層建築を紹介していくのでチャンネル登録してもらえたら嬉しいです。


では今回はこの辺で、さようなら!


Comments


IMG-2724.JPG
About Me

I'm a geek of skyscraper. Every posts include information about world's high-rise buildings. If you have a question, please don't mind to send message. I also want to know your favorite one, enjoy and knowing well together. 

 

Read More

 

Join my mailing list
  • White Facebook Icon

© 2023 by Going Places. Proudly created with Wix.com

bottom of page